YouTube 2021.01.13
NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」をビジュアルな情報満載で伝える動画シリーズ。
温暖化は新フェーズへ (5分)
洪水や森林火災の頻発など今、新たなフェーズに入り、人類生存の危機となっている温暖化の現状とは?
2020年は産業革命前から1.2℃上昇し、史上最高を記録。グリーンランドの氷床が大量に溶けて、その水を東京23区に注ぎ込んだとしたら・・スカイツリーを超え、水位は800メートルに。
温暖化で森も焼け野原に。コアラやカンガルーなど30億匹以上の動物が犠牲になったオーストラリアの山火事など、2020年、世界で焼けた森林の面積は日本列島の1.7倍の広さに及ぶ。
さらにシベリアでも異変が。北極圏で38℃という異常な高温を観測。数万年にわたって溶けなかった永久凍土が溶けて発見されたのは、脅威の増殖能力を持つ未知のウイルス。温暖化で「古代の病原体が人類に新たな感染症の流行をもたらす可能性は高い。永久凍土は、まさにパンドラの箱」だと科学者たちは警告する。
ポツダム気候影響研究所のヨハン・ロックストローム博士も、「今、私たちは人類の未来を左右する10年にいる。残り時間はわずかで、緊急事態の真っただ中にいる」と訴える。 甚大な被害を避けるためには、平均気温の上昇を産業革命前から1.5℃に抑える必要がある。
私たちに求められているのは、温室効果ガスの排出を2030年まで半減し、2050年には実質ゼロにすること。未来への分岐点、2030年まであと10年・・・。
2100年に“待っている未来” (5分)
気温上昇が産業革命前から1.5℃を超えてさらに上昇すると、どんな未来が待ち受けているのか?
まず北極に異変が。氷が急速に溶けて縮小、海水が熱を吸収し温暖化が加速。影響はシベリアへ。永久凍土に眠っていたメタンが大放出。さらにアマゾンでは、熱帯雨林がサバンナに変化。温暖化の暴走が止まらず、ついに陸上最大の氷の塊である南極の氷も融解、気温は上がり続け、ホットハウスアース(灼熱地球)になる危険性がある。 2100年に4℃上昇した日本の未来とは?
東京の猛暑日は47日と約4倍に増加。屋外で労働できる時間が3~4割も減少。23区では熱中症で救急搬送される人は24万人。アジアでオリンピックが開催可能な都市は2か所だけに。 さらに、日本の砂浜は約9割が消滅。海水温の上昇で漁業も大打撃、近海物の寿司は幻になってしまう。台風の脅威はさらに増し、首都東京は大水害に見舞われる。荒川が決壊すると、浅草も秋葉原も水没の恐れが。死者は約2300人、浸水は広い範囲で2週間以上も続くと国は試算。
今すぐ進むべき未来を変えて、温室効果ガスを削減になければならない。未来への分岐点、2030年まであと10年・・・。
若者たちの声で脱炭素へ!(5分)
温暖化の危機を回避するために若者たちが強く求めている脱炭素革命。
2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする戦略だ。しかしコロナ対策による経済の自粛で削減された排出量は7パーセントと道のりは険しい。ゼロをめざすには、社会の仕組みをまるごと作り変える必要がある。
EUでは、グリーン分野に120兆円を投資。最も重要なのは、排出量の75パーセントを占めるエネルギー転換。2020年以降の石炭火力発電所の新設を禁止し、再生可能エネルギーに。天候に左右される再エネを安定運用するため、市民も発電ネットワークの一端を担う。
発電設備や蓄電池を備えた住宅などをネットワークで接続し、デジタル管理で電力会社の発電量が多いときには地域の蓄電池に分散して貯蔵し、足りなくなったときにはそこから供給する仮想発電所を構築。
この他、電気自動車の普及を進めるため、2025年までに100万基もの充電設備の整備や2030年までの建物の断熱化も。さらには、産業を循環型に変えるため、温室効果ガスを大量に排出する繊維業界に対し、古着の再利用を強く求めている。 だが、コストが高く競争力で不利になるため、EUでは「国境炭素税」によって、温暖化対策を取っていない企業に対し、対価として税金を支払わせることに。こうした野心的な政策で2030年の排出量55パーセント削減をめざす。
政治家たちを動かしたのは、対策を強く求める若者たちの声だ。気候危機を食い止められるか、未来への分岐点2030年まで、あと10年・・・。